源氏物語の原文全巻を1冊で印刷製本できるか試してみました(1)
卒業アルバム以外の無線綴じなどは引き続き承っております。
「源氏物語(の原文)」を一巻本で読めたらなあ、と嘆いている人がどのくらいいるか分かりませんが、現代語訳には谷崎潤一郎『源氏物語 全』があり、英訳・仏訳にも全一巻のものがいくつかあるのですから、原文だって全一巻にできるはずです。
これをイシダ印刷で印刷製本するとなれば、一体どのような本になるのでしょうか。
目次
源氏物語の原文全巻を800ページでレイアウトした場合
製本の条件やテキストの設定は以下のとおりです。
製本の条件
① ページ数は800ページ(イシダ印刷は4~800ページの無線綴じ製本に対応)
② 書籍のサイズはA5(148mm×210mm)
ページ、レイアウトの設定
① テキストは『校異源氏物語』の物語部分のみを採用(目次や表題はここに含まない)
② 原文の総文字数を100万文字に設定(400字詰め原稿用紙2400枚)
結果その1
100万文字を800ページで割って、1ページあたり1250文字とすれば、次のようなレイアウトになります。
- 一行63文字、20行の1260文字
- 文字サイズ: 7pt
- 行間: 10.5pt
これは読みにくい、というより読めません。
じっさいの印刷では、ノド(ページの内側、綴じ部分)に余裕をもたせるために、もっと行間を狭める必要がありますし、文の区切りがないうえに書き込めるスペースがどこにもありません。
A5サイズの800ページというのは、本としては実用的なサイズであっても、文字のサイズが小さすぎて本文の可読性をそこなってしまうようです。
1290ページで再チャレンジ
本としての実用性(持ちやすさなど)をまったく無視すれば、800ページを超える製本が可能な場合があります。
そこで先ほどの条件を次のように変更し、もういちど考えなおしてみたいと思います。
変更後の条件
① 背幅65mmまでの無線綴じで製本(イシダ印刷では最大背幅65mmまでの無線綴じが可能((機械のマニュアル上は))
② 書籍サイズはA5(148mm×210mm)
③ 表紙用紙は「レザック66 175K」
④ 本文用紙は「書籍 72.5K」
ページ数の決め方
① 背幅計算ツールをつかって〈変更後の条件③④〉の用紙を選択し、背幅が65mmになるページ数を見つける
② ①で割りだしたページ数に、原文の総文字数に設定した100万文字を割りあてる。
結果その2
背幅計算ツールをつかって確認すると、1290ページでちょうど背幅65mmにおさまることが分かりました。
したがって、この1290ページに100万文字をおさめれば『源氏物語』全一巻が完成することになるはずです(いちおうは)。
これは1ページあたり約775文字ですから、次のようになります。
- 一行49文字、16行の784文字
- 文字サイズ9pt
- 行間13.5pt
文字も大きくなり、いちおう読める体裁にはなりました。
しかし改行がまったくなく、和歌がどこにあるのか分かりません。
てきとうに改行をおこない、段落をつける必要がありそうです。
このような改行をすることで、和歌のところが一目でわかるようになりました。
新たな問題が・・・
しかし、別の問題が発生しました。
改行した分のページ数が増えましたので、全体が1290ページにおさまらなくなっています。
厚みが65mmを超えてしまうことになり、このままでは無線綴じによる製本はできません。どうしたらいいのでしょうか。
次回はこの問題を解決したいと思います。
続きはこちらの記事でご覧ください。
- イシダ印刷では通常、4~800ページまでの無線綴じ冊子の印刷製本を承っております
- 使用した源氏物語のテキストは、デジタル源氏物語「校異源氏物語テキストデータベース」より
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