ノンブル(ページ番号)の余白設定で気をつけたいこと
卒業アルバム以外の無線綴じなどは引き続き承っております。
紙面の上下いずれかにノンブルを振るとき、ページの余白を同じ幅でとり、そのままページ番号を設定することが多いのではないでしょうか。
しかし、それで安心していては実際に本が出来上がったとき、ざんねんな結果を招くかもしれません。
ノンブルを振るときの注意点「余白」
入稿したデータがいざ本になってみると、モニター上では気にならなかった部分が目につきます。
たとえば、文字と余白のバランスもそういう項目のひとつとして挙げることができるでしょう。
そのため、ノドが詰まっていないか、余白は十分とっているかなど、入稿前に注意しておくべき点がたくさんあるわけですが、ここにひとつ盲点がございます。
余白の幅をおなじ長さでとっているとノンブルが配置された側は余白が狭くなったように感じます
これはデータの不備というほどのものではなく、印刷会社でもとくに指摘しておりませんので、自分で確認・調整をしておかなければなりません。
もちろん、余白の幅が同じであっても問題はありませんし、それでいいと感じればそのままでも結構でしょう。しかし、余白のバランスがとれていない本はちょっと気持がわるいのです。
なぜなら、一般的な書籍のほとんどはノンブルと余白のバランスを意識した体裁になっているからです。
出版されている書籍の「ノンブルと余白のバランス」
ここで、一般に出版されている本を見てみたいと思います。
ページの余白はどうなっているでしょうか。名作小説12作品のノンブル、タイトル、章題の位置を徹底比較で紹介した本のいくつかを、こんどは余白に注目してここに再掲してみます。
どちらも、上下の余白はおなじ幅に見えます。
では、この角度ではどうでしょう。岩波文庫を真上から撮影してみました。
やはり、上下の余白はおなじ幅に見えるでしょうか。
実際に測ってみると、新潮文庫も岩波文庫もノンブル側(上)の余白が2mmほど広くなっていることが分かります。
この差を設けていなければ、ノンブル側の余白が狭く見えてしまうのです。
下の講談社文庫では、ノンブル側(下)の余白が2mm広くなっています。
このように余白の差はわずかでも、決しておなじ幅にはなっていないことが分かります。
こうしたささいな工夫がページのバランスを良くし、本文を読みやすくしているのです。
ペーパーバックの「ノンブルと余白のバランス」
次の画像は余白に差が設けられていないペーパーバックです。
上下の余白の幅がおなじになっているため、ページ上部がすこし詰まっている印象を受ける(下の余白が広く見える)のではないでしょうか。
もちろん、このままでも『若草物語』(オルコット)の楽しさは変わりませんが、本を開くたびにバランスの悪さが気になってしまいます。
反対に、余白をとりすぎてしまった例が以下の本です。
ペンギン・クラシックスの『論語』(孔子)はノンブル側の余白を広くとっているのですが、ページ下部がすこし詰まってしまいました。余白はノンブル側をただ広くすればいいというわけでもなさそうです。
まとめ
以上から、余白を設定するときには、
ノンブル側を「すこしだけ」広めにとる
ことを意識しておくのが良いでしょう。
じっさいに紙の本になったとき、見た目のバランスが格段に良くなりますので、ぜひ実践してみてください。
ノンブルの入れ方や配置の方法などはノンブルとは?入れ方や位置、ページ数の正しい数え方で解説しております。
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