レクラム文庫とは？

 

レクラム文庫とは、1867年からドイツの Reclam（レクラム）という出版社が出している安価な小型書籍の通称です。

この「レクラム文庫」という名称は日本独自のもので、「Reclams Universal-Bibliothek（ウニヴェルザール・ビブリオテーク）」が正式な叢書名になります。

 

レクラム文庫と岩波文庫の関係

さて、このレクラム文庫ですが「岩波文庫のモデルとなった」というのは有名な話ですのでご存知のかたも多いでしょう。しかし、レクラム文庫と岩波文庫はサイズがちがいます。

 

各出版社の文庫を実測した【出版社別】文庫本サイズまとめ｜家にある文庫本を手当たり次第に測ってみたでも紹介しましたが、岩波文庫はA6サイズ（148mm×105mm）で、イシダ印刷の印刷製本でも文庫には通常、A6規格を採用しております。
（冊子印刷対応サイズ一覧）

 

では、実際にレクラム文庫のサイズはどうなっているのでしょうか？
手元にレクラム文庫が1冊ございますので、今回はこれを測ってみることにします。

 

レクラム文庫のサイズを測る

内容については触れませんが書誌情報をチェックしてみると、この本は2020年にドイツで印刷されたもののようです。計測されるレクラム文庫のサイズは、かなり最近のレクラム文庫ということになります。

 

計測結果

• たて 148mm
• よこ 97mm

レクラム文庫は、岩波文庫より横幅が8ミリ短いことがわかりました。

 

高さは同じでも…

 

横幅はこんなに違います

 

レクラム文庫の分類【色分け】

ところでレクラム文庫といえば黄色の表紙ですが、これはドイツの文学作品に分類される色で、この他にもカテゴリーがあります。

以下はレクラム文庫の色分けです。

レクラム文庫の色	カテゴリー
黄	ドイツ文学のクラシック（ドイツ語に翻訳された作品を含む）
赤	外国語のクラシック作品の原文（語彙の注釈付き）
オレンジ	バイリンガル版（文学、哲学のクラシック）
青	学生のための学習ガイド
緑	大学生のための注釈、原文、追加資料
マゼンタ	ノンフィクション（歴史、政治、自然科学、音楽、芸術、宗教）

 

レクラム文庫はおもに作品の言語と使用目的による分類になっています。

 

こうした色分けはまた岩波文庫の模範となりました。
ただし、岩波文庫レーベルはすべて日本語による構成になりますので、ドイツ語以外のカテゴリー（赤・オレンジ）があるレクラム文庫とは分類の基準が異なります。

 

岩波文庫の分類【色分け】

レクラム文庫の分類では表紙の色が異なりますが、岩波文庫では帯の色による分け方になっています。以下は岩波文庫の色分けです。

岩波文庫　帯の色	カテゴリー
青	思想・哲学・宗教・歴史・地理・音楽・美術・教育・自然科学
黄	日本文学（古典）
緑	日本文学（近代・現代）
白	法律・政治・経済・社会
赤	外国文学

（岩波書店Webサイト「文庫本豆知識」より）

 

日本文学において近代小説が始まった（とされる）時期で黄と緑に分けられ、外国語からの翻訳文学はすべて赤に統一しています。そして、文学以外はジャンルによって青と白にざっくりと振りわけられました。

 

レクラム文庫では分かりにくかった分類（翻訳文学が黄色になるかどうかの基準）が、岩波文庫ではまとめて赤帯という構成になり、（赤については）色分けの基準が明確になっています。

 

ちなみに、ニーチェの「ツァラトゥストラ」はレクラム文庫では黄色から、岩波文庫では青色のコーナーからお探しいただけます。

 

イシダ印刷では定型サイズ以外にも、カスタムサイズ（変形サイズ）での印刷製本を承っております。
文庫の判型に迷われている方は、レクラムサイズを試してみてはいかがでしょうか。

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