文字や図版を読みやすく配置する【本・冊子レイアウトの基本 その2】
卒業アルバム以外の無線綴じなどは引き続き承っております。
前回の記事エディトリアルデザインとページ内要素の名称【本・冊子レイアウトの基本 その1】でご紹介した、本を形づくる様々な部分をレイアウトにうまく取り入れて、読みやすく伝わる本・冊子になる重要なポイントをお伝えします。
本の綴じ方の基本
縦書きは右綴じ、横書きは左綴じが本の綴じ方を決める原則です。
その理由は「右と左、どちら側を綴じていると、読者は読みやすいか」を基準に決められているからです。
縦書きは行(文字)を右から左へと読み進むので、ページをめくる方向が右向きになる右綴じが読みやすく、横書きは左から右へ文字を読むので、ページをめくる方向が左向きになる左綴じが読みやすいのです。
横書き・縦書きが混ざったレイアウトの場合
ファッション誌を思い浮かべてみてください。
ページによっては横書きのレイアウトもありますが、全て右綴じになって製本、販売されています。
これは、横書きは文字を読む流れは左→右になりますが、行(文字情報のまとまり)の流れは天→地なので、1ページの中で情報が完結していれば、綴じ方が逆でも読者はあまり気になりません。
しかし、縦書きの場合は行(文字)の進行方向が右→左のため、ページをめくる方向が逆になって左綴じになると読みにくくなります。
横書きと縦書きが混在する原稿の場合、原則的に右綴じが採用されるということを覚えておきましょう。
紙面の構成要素
余白・マージン
余白を「マージン」と表現します。
A4の冊子なら、四方の余白は20mmもあればすっきりしたレイアウトになります。
四方とも同じマージンで作るのが一般的ですが、ページ数の多い書籍だとノド(見開きにした状態の中央部分)が隠れるので、ノドのマージンを多めにとると読みやすくなります。
版面
マージンで囲まれた、本文を配置するスペースを版面と呼びます。
論文集や報告書ならそれぞれの文章の見出し(タイトル)、作者等の情報を版面の上の方に置き(縦書きの場合は右)、本文や図版を配置します。
版面ぴったりに文字を配置すると、マージンが美しく見えます。
本文と図版がまとまりなくパラパラと配置され、余白が目立つと不規則な印象を生み、読みにくくなってしまいます。
版面に合わせてバランスよく配置しましょう。
図版と説明文の位置関係のパターンも決めておきましょう。
あるページでは図版が左、説明文が右なのに、別のページでは逆になっていたりすると、読者のスムーズな理解を妨げてしまいます。
ノンブル
マージンを設定した後、必ず設定したいのがページ番号です。
「ノンブル」と呼ばれ、版面の外側に小さくレイアウトされるのが一般的です。
ページ番号をきちんと記載しておくと、製本の工程で乱丁、落丁も防ぐことができます。
ノンブルに色をつけたり、ラインや図形を配置して遊ぶとお洒落な印象の冊子になります。
ページ番号の付け方は2通りあり、どちらでも問題ありません。
- 表紙を「1」、表紙の裏を「2」として、本文1ページ目を「3」から始める
- 本文1ページ目を「1」から始める
柱
章タイトル等を小さく記載する柱も、論文集や学習テキストなどでは必須の要素です。
ページ数の多い冊子では、どの章を読んでいるのか見失いがちになりますが、柱がきちんと設定してあればどの章のどの部分を読んでいるのかすぐに分かります。
ノンブルの横にレイアウトする場合もありますし、ページの天の近くや、小口側(本を開いた時の外側にあたる部分)に小さく配置することもあります。
レイアウトと各要素の基本 まとめ
書き方向や綴じ方、紙面の中にある本文と様々な要素。
これらはすべて「読者の読みやすさ」を第一に考えた決め方や配置となっています。
作者の伝えたいことを読者目線で表現することは、本・冊子の原稿だけでなく紙面のレイアウトや製本までをふくめた、本作りの基本といえるでしょう。
「読みやすさ」=「伝わりやすさ」ですね。
書店に行くと「読みやすさ」と「伝えたいこと」が、様々なアイデアとデザインで形になった本がたくさん並んでいます。
ぜひ手にとって、本作りの参考にページをめくってみてください。
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